リスク・アセスメントのレベル3をどう考えるか? - ロシア衛星爆発の件より –
先日、久々に「きぼう」のロボット運用のリードとして筑波宇宙センターのミッション・コントロール・ルーム(MCR)に入りましたが、運用開始直後から、ロシア衛星爆発の影響による宇宙飛行士避難の緊急事態に遭遇しました。
翌日までに終了しなければならないロボット運用を続行できるか?という調整も大変だったのですが、NASA含めたチーム連携と緊急対応が素晴らしかった。
1時間後に、100個近くの衛星の破片(デブリ)が宇宙ステーション(ISS)に襲いかかるという映画のようなシチュエーション。そんな中、淡々と緊急対処手順に従い、ISSの隔離や各宇宙船へ避難する宇宙飛行士。当然訓練は行われていますが、生死がかかった状況で完璧な対応でした。結果的に、デブリの飛来はなく、その後の危険性もないとの判断で宇宙飛行士は安心して就寝したと思います。
この事象は、安全設計で使われるリスク・アセスメントの中でいう、「極稀な」・「致命的な」カテゴリとなり、レベル3の「許容できるが検討を要する」という処置がいるもので、ハードウェア設計ではどうしようもできず、手順と訓練で対処していることになります。
ここで重要なのは、ほぼ発生しないリスクを、しっかりマネージメントできている点。ほぼ起きない事象を訓練で頭と体に叩き込むのは大変ですが、しっかりできていることが証明されましたね。
訓練、とっても大切です。
ロシア衛星爆発のニュースはこちらから