宇宙システムだけではもうからない!? – 有人ロケット交流会での話 –
初めて有人ロケット交流会に参加しました。普段なかなか出会えないロケット業界の方々と交流でき、沢山学ぶことができました。ブース展示や講演もさせて頂き充実した2日間でした。
中でも初日のパネルディスカッションは、ロケットに関わる、JAXA、民間企業、宇宙港関係者、投資家などが入り、たっぷり2時間のディスカッション!盛り上がらない訳はありません。その中で特に面白かったのは以下の2点。
①有人ロケットvs再利用ロケット
現在の民間ロケットの主流は、SpaceXやLocketLabのような再利用ロケット。何度も機体を使い回すことでコスパを上げています。有人ロケットは、再利用型とは異なる非常に難しい技術が必要で、米国中心に新たなロケット開発がなされています。現在、我が国の宇宙輸送に関してはH3とHTV-Xを主軸とした物資輸送に留まっており(政策がそっちの方向)、有人の議論はなかなか出てこないのが実情。全て国産でやりたい日本としては、日本人宇宙飛行士の打上げを米国に頼ってばかりで良いのか??という議論は避けて通れないところ。今後の舵取りが気になるところです。
②宇宙システムだけではもうからない!?
パネリストから「正直宇宙ビジネスはもうからない」という発言がありました。現在、宇宙システムだけで黒字になっているのは世界で唯一SpaceXだけで、そのSpaceXでさえも売上のほとんどがアンカーテナンシーと呼ばれる政府調達です。BtoBだけで黒字になっている企業はないようです。では、どうすればいいのか?様々な関連ビジネスを絡め複合的に儲ける必要があります。
例えば、宇宙港で言えば、ロケットの打上げだけでは赤字です。そこに整備や補用品、観光客の受け入れやホテル・レストランなど、これらの複合的なビジネスで全体として黒字にするとのこと。これは、航空業界とも同じようです。
とはいえ、米国では特に宇宙データを扱う企業の株が安定して右肩上がりなのも事実。これを作ると何に派生し、どこで儲けが出るのか?しっかり出口を考えることが重要ですね。
また、先日試験が終わったばかりのインターステラ・テクノロジス社の新たな小型ターボポンプの実機も初公開。2社から約50億円のSBIRフェーズ2資金獲得の報告もあり、大いに盛り上がった2日間でした。